神戸新聞朝刊「見る 思う」に寄稿しました♪

2025年2月2日の神戸新聞朝刊(全域)の「見る 思う」に寄稿しました。地元で制作を進めている『地元人』についての思いを綴りました。紙面掲載は不可なので、以下に寄稿文全文を記載いたします。
*
地元の加東市で本づくりチームを立ち上げ、「地元の本」をつくる出版プロジェクトを進めています。その名も「地元人」(創刊号「兵庫加東」)。地域の主体は「人」だからこそ、人を軸に地元を描きたい、そんな思いで名づけました。
本づくりのメンバーは、恩師の元小学校教諭、地元行政に携わる市役所職員、知識豊富な文化会館の職員、SNSを広報などに活用する副住職、結婚を機に加東市に来た女性アーティスト、母校・社高校の5人の生徒たちなど。高校生に参加してもらった理由は、地域の次代を担う若者の思いや感性を本に取り込みたかったからです。
2023年の夏ごろから本格的に本づくりをスタートさせました。仲間集めに始まり、チームミーティングや加東市を巡るツアー、地元で活躍する人たちへの取材活動、編集、そして執筆…。一心不乱に取り組んできました。
内容で特にこだわったのは、百㌻規模のメイン特集「水物語」。先人が造り上げた東条川疏水の物語から始め、酒米・山田錦の最適な栽培環境を誇る特A地区の土壌、階段状になっている地形を解説。加東市の地形は、なんと六甲山の形成過程と密接に関係しているのです。こうして水利と土地について語ったうえ、それを受け継いだ地元人の物語へと続いていきます。
伝えたいのはやっぱり「人」なんです。生まれ育った加東市松沢で米づくりに励む藤原弘三さん(「藤原」専務取締役)の挑戦や、同市にUターンして国内外で高く評価されるアーティスト竹内紘三さんの生きざま…。いずれも「なぜこの地で活動するのか」、そんな問いで彼らの人生を深く見つめています。
そもそもなぜこんな本づくりをしているのか?。「地元が好きだから」「地元のために」と勘違いされがちですが、そんな立派な理由ではありません。自分のスキルを使って地元でどんなチャレンジができるか。地元の人たちとどこまで主体的に動けるか。そんな実験的な意味合いがきっかけです。ですが本づくりを続ける中で私自身に変化がありました。地元を知るほどに加東市が好きになってきたのです。地元の本を自分たちで編む行為とは「見つめ直し、誇りを取り戻す」ことに他ならないと感じています。
「地元人」(創刊号「兵庫加東」)は3月上旬発売予定で、全国の書店に置かれます。加東市や兵庫の人はもちろん、地方から都会に出た人にも読んでもらい、それぞれの地元を見つめ直し、その地の誇りを取り戻すきっかけにしてほしいです。
最後に、本書は「地域刊」をうたっています。地域刊とは、地域ごとに持ち回りで出版していく本プロジェクト独自の仕組みです。創刊号の「兵庫加東」を完成させた後、他の地域で第2、3号と展開し、「地元人」を通じて全国の地域同士や、地域と人をつないでいきたい。