内容紹介

『ローカルクリエーター』
『RICE IS COMEDY』
に続くスタブロブックス
地方発本・第3弾

 

構想10年、チームでつくり始めて1年半。
人を軸に地域を描くローカル・マガジン誕生

 

地域ごとに持ち回りで出版していくローカル・マガジン、地域刊『地元人』。

 

「その地域らしさを、『人』を軸に描く」というコンセプトのもと、創刊号では版元であるひとり出版社スタブロブックスの所在地「兵庫県加東市」で本づくりチームを結成し、加東にゆかりのある多様な「人」にフォーカスしたコンテンツを届ける。

 

メイン特集は100ページ規模の「地元承継:水物語」。先人が造り上げた東条川疏水の物語に始まり、酒米・山田錦の最適な栽培環境を誇る特A地区の土壌、階段状になっている地形を解説。水利と土地について語ったうえ、それを受け継いだ地元人の物語へと続いていく。

 

伝えたいのは一貫して「人」。生まれ育った加東市松沢の田んぼで米づくりに励む藤原弘三氏(株式会社藤原・専務取締役)の挑戦、加東市にUターンして国内外で高く評価されるアーティスト・竹内紘三氏の生きざま、受け継いだ土地を活かしてブドウを育てる岩崎農園の職住近接の豊かな暮らし……いずれも「なぜこの地で活動するのか」、そんな問いで彼らの人生を深く見つめていく。

 

創刊の思い
地域の主体は「人」だからこそ、その地域らしさを、「人」を軸に描いていく。その地域で生きる人たちの営みから見えてくる血の通ったストーリーを地元主体で掘り起こし、なぜこの土地なのかという彼らの思いや生きざま、価値観を通して地域の魅力を浮き彫りにしていく。そんな地元人の実像と物語にこそ、その地域の本質的な価値が隠されているのではないか。

 

地域刊とは?
地域ごとに持ち回りで出版していく本プロジェクト独自の仕組み。創刊号を皮切りに、他の地域で第2、3号と展開し、『地元人』を通じて全国の地域同士や、地域と人をつないでいく。

目次

かさぶたを剥がせ
[地元エッセイ] 外来種のぶつくさ 児童文学作家 日向理恵子
「地域を編む」とはどういうことか 地元で本づくりが動き出すまで
[この地元にこの人あり] アーティスト・竹内紘三はいかにして生まれたのか

 

●特集 地元承継:水物語
episode1:「水利」のしくみをつくり上げた先人の智慧
episode2:3800万年の歴史が築いた「奇跡の土地」
・パート①:六甲変動と加東の河岸段丘、知られざるその関係(岸本清明)
・パート②:酒米のテロワール 山田錦の栽培に適した土壌「特A地区」(池上勝)
episode3:先人からのプレゼント=土地と水利を受け継いだ地元人の新たな挑戦
・地元人インタビュー①:特A地区をブランド化し、誇れる米づくりを取り戻したい(藤原弘三)
・地元人インタビュー②:受け継いだ土地を活かし、生産者として生きる(岩崎農園)
episode4:山田錦が結んだ「酒米農家」と「酒蔵」の物語
・物語①【田尻農園×山忠本家酒造】
・物語②【今川哲郎×本田商店】
・物語③【藤田博秀×日々醸造】
episode5:加東市「山田錦」乾杯まつり2024レポート/吉田類さんインタビュー

 

[わたしの地元] 兵庫県立社高等学校 生活科学科 地方創生班
[地元高校生が考える地方創生] 加東市の魅力 知り尽くしちゃえ! バスツアーレポート
[地元訪問記] SNSで話題の萌えキャラを探して 麦戸花
[寄稿] ムカデも見たことないワタシが加東市に来て 松本久美子
[寄稿] 妻の家出 永井一樹
ジモトブックス・プロジェクト紹介&参加地域募集中!
[SPECIAL THANKS] クラウドファンディングにご支援をしてくださった皆様
JIMOTO MEMO

版元からのひと言

地元の加東市で本づくりチームを立ち上げ、「地元の本」をつくる出版プロジェクトを進めています。その名も「地元人」(創刊号「兵庫加東」)。地域の主体は「人」だからこそ、人を軸に地元を描きたい、そんな思いで名づけました。

 

本づくりのメンバーは、恩師の元小学校教諭、地元行政に携わる市役所職員、知識豊富な文化会館の職員、SNSを広報などに活用する副住職、結婚を機に加東市に来た女性アーティスト、母校・社高校の5人の生徒たちなど。高校生に参加してもらった理由は、地域の次代を担う若者の思いや感性を本に取り込みたかったからです。

 

2023年の夏ごろから本格的に本づくりをスタートさせました。仲間集めに始まり、チームミーティングや加東市を巡るツアー、地元で活躍する人たちへの取材活動、編集、そして執筆…。一心不乱に取り組んできました。

 

内容で特にこだわったのは、百㌻規模のメイン特集「水物語」。先人が造り上げた東条川疏水の物語から始め、酒米・山田錦の最適な栽培環境を誇る特A地区の土壌、階段状になっている地形を解説。加東市の地形は、なんと六甲山の形成過程と密接に関係しているのです。こうして水利と土地について語ったうえ、それを受け継いだ地元人の物語へと続いていきます。

 

伝えたいのはやっぱり「人」なんです。生まれ育った加東市松沢で米づくりに励む藤原弘三さん(「藤原」専務取締役)の挑戦や、同市にUターンして国内外で高く評価されるアーティスト竹内紘三さんの生きざま…。いずれも「なぜこの地で活動するのか」、そんな問いで彼らの人生を深く見つめています。

そもそもなぜこんな本づくりをしているのか?。「地元が好きだから」「地元のために」と勘違いされがちですが、そんな立派な理由ではありません。自分のスキルを使って地元でどんなチャレンジができるか。地元の人たちとどこまで主体的に動けるか。そんな実験的な意味合いがきっかけです。ですが本づくりを続ける中で私自身に変化がありました。地元を知るほどに加東市が好きになってきたのです。地元の本を自分たちで編む行為とは「地元を見つめ直し、誇りを取り戻す」ことに他ならないと感じています。

 

「地元人」(創刊号「兵庫加東」)は3月上旬発売予定で、全国の書店に置かれます。加東市や兵庫の人はもちろん、地方から都会に出た人にも読んでもらい、それぞれの地元を見つめ直し、その地の誇りを取り戻すきっかけにしてほしいです。

 

最後に、本書は「地域刊」をうたっています。地域刊とは、地域ごとに持ち回りで出版していく本プロジェクト独自の仕組みです。創刊号の「兵庫加東」を完成させた後、他の地域で第2、3号と展開し、「地元人」を通じて全国の地域同士や、地域と人をつないでいきたいです。
(神戸新聞「見る 思う」に寄稿した文章をもとに編集しています)